7月第4週

長年独学で楽器を弾くことによるメリットも意外とたくさんあるけれど、無論よくないこともある。その最たるものが変な癖がつくことでしょう。

こんな話があります。日本人のプロのフィドラーの方のお話です。

「僕はね、ロングトーンってのが大嫌いなんですよ。前にクラシックの先生に教えてもらったときにね、やれっていうんです、ロングトーン。やりましたよ、やりました。そしたら先生は、ビブラートするのやめてください、っていうんです。仕方ないでしょうじゃないとピッチあってないのばれちゃうじゃない。」

この話を聞いて僕は、「ピッチがあってないのは耳が悪いせいだ。」と思っていました。耳さえよければピッチなんて当然合うでしょ、と。それが一番大切なことだといまでも思っています。でも実際には、ピッチがずれるのにはいろいろな原因があるんだなと、改めて思い知らされています。

その原因の一つが今日のテーマの「変な癖」です(前置き長いですねすみません)。これまで僕が気づかせていただいた例をあげてみます。

・A弦でB♭おさえる時左手がスライドしている
(おかげでその次に来る音のピッチがずれます)
・薬指、小指をあまり開いていない
(全体的に音が低くなりますよね)
・左手人差し指付け根が楽器に触れている
(E弦F♯(人差し指)からA弦C(中指)への移動でCのピッチがずれる。弾き方によっては触れててもいいみたいですが)

先ほど言いましたが、正しいピッチを耳で覚えることが一番大事であり、毎日ピッチに注意しながらロングトーンをすることが重要なのは言うまでもありません。ただ、それでもピッチが狂いやすいフレーズというものもあります。そういうところでは何か自分に変な癖がついているのではないか、考えてみると案外に簡単にきれいに弾けるようになるかもしれません。